“三球儀”・・・文字変換すらままならないこの単語、みなさんご存じですか?
任意の時期の「太陽・地球・月」の位置関係が一目でわかる教材の名称です。
まぁ、こんなマイナーなページにたどり着いた方は、きっとこれについての情報収集と思いますが・・・。
webを調べてみると、販売の情報はあっても商品の詳細情報は少ないですね。
教職でもなく天体にも詳しくない僕ですが、購入の経緯を含め知り得た情報をお知らせします。
こんなものが欲しかった!
いつか時期が来たら、うちの娘たちに「部屋に電球を吊るして“太陽”、ビーチボールを“地球”として、日の出のしくみなどを実演し、宇宙に興味を持ってもらえたら・・・」と考えていました。
偶然webでこの商品を発見したため「これはすばらしい!」と思い、一番安いのを購入しました(約3,000円)。
それにしても、金額のバラツキが半端ない・・・。よく見ると、高い商品は太陽の光る部分の形が安い商品とは少し違います。きっとそちらが「本家」かと。
新型コロナ真っ只中の中国・深センからの出品のため、不安な中での購入でした。税関の遅れも重なり、届くまで約1ヶ月かかりました。
内容物の確認
商品はこちらです。安い商品は英語版と中国語版の2種類あるようですが、届いた商品は英語版でした。
それぞれのパーツについて解説します。
文字盤
英語だらけで一瞬焦りましたが、季節と月が書いてある年間カレンダーです。外側の白抜き文字は「二十四節気(にじゅうしせっき)と呼ばれる中国伝来の季節を表す名称で「SPRING BEGINS=立春」のように、わかりやすいものもあります。僕は最初それに気づかず「INSECT AWAKEN?昆虫の目覚め・・・なんだそりゃ?」と思っていました。
日本語に翻訳した文字盤のpdfデータを作りました。英語の文字盤の上に貼って使えます。
使いやすくアレンジしたつもりです。ご自由にダウンロードしてご利用ください。
太陽
このカタチ、どこかで見たような・・・
あぁ、あれだ。
デス・スター
後ろの突起がスイッチで、以外と明るいです。
ボタン電池内蔵で交換も可能(LR44×3)。
交換方法はページ下段です。
地球、月、月齢表
一体型の、いわゆるassy(アッセンブリー)です。この部品単体なら地球も月もよく回りますが、文字盤と合体すると回転が重くなります。力を入れすぎると壊れそうなので、ゆっくり回しましょう。微調整は地球のすぐ下のギアを手で回すのがよいかと。
写真右の「上のギア」は、軽く持ち上げると外れます。
説明書
B5/二つ折り/4Pです。グーグル大先生の力を借りて翻訳を試みましたが・・・
マジで無理!!
最初の半ページで挫折しました。
この説明書、きっと中国語から英語に翻訳されているのですが、お粗末なもので・・・angle(角度)がangel(天使)だったり、その他首をかしげる単語多数。
ただでさえこの物体のことがよくわからないのに、過去英検2級に3回落ちたボクにはハードルが高すぎました。
組み立て
気を取り直して組み立てです。たったこれだけの部品なので、説明書なしでもどうにかなると思いきや・・・。
なんだこれ?
ドライバーが入らない!
右側の2つの穴の下からネジをしめて左のパーツと合体するのですが、ギアが邪魔で指すら入らない。
ありえない・・・誰がこれ設計したんだ?
一番左のギアを外せたらいいんだけど・・・
なんだ、外せるじゃん。
ペンチを使って、ギアの芯を引っこ抜きました。
でも説明書には載っていなさそう。
これで解決!
さっさと組み上げましたが・・・ここでまた問題。
「太陽・地球・月の位置関係は?」
・・・そう、適当に組んではいけないのです。任意の日付に矢印を合わせたときに「太陽・地球・月」が正しい位置にならなくては意味がない。でもその方法がわからない・・・。
組み立てやり直し
数十年ぶりに理科の勉強をして「太陽・地球・月の位置関係」について、正解と思われる方法にたどり着きました。でも間違えていたらスイマセン。
方法は色々あると思いますが、僕のやりかたは「冬至の位置を基準にする」です。
具体的には、
1.冬至に近い満月の日を「月齢カレンダー」で調べ、月の位置を満月の日に合わせる
2.地球の位置を冬至に合わせる
の2つ。順を追って説明します。
1.月の位置を満月の日に合わせる
まず連結部分の上下のギアを外し、ネジをゆる~く締める。ゆるくする理由は、あとで上のギアをスムーズに入れるため。
文字盤の矢印を、冬至の直近の満月の日に合わせる。満月はwebで「月齢カレンダー」で検索すれば調べられます。(2020年の冬至は12月21日のため、直近の満月は12月30日)
月齢表の満月(白い〇)と月の模型を回転させ、文字盤から一番離れた位置に移動させる。
これが満月の正しい位置(A)。
このときの地球の位置は、まだ気にしなくていいです。
文字盤と月齢表が回転しないように気をつけつつ、上のギアをはめて2つのネジを下から締める。
上のギアは「文字盤の矢印」と「月」の動きと連動しています。この作業により、文字盤の年間の季節と満月(A)の位置関係が決まりました。
2.地球の位置を冬至に合わせる
次に地球の位置を決めます。
文字盤を回転させて冬至に合わせる(12月21日)。
もちろん、月は上のギアと連動して移動します。
地球の「軸」の傾きが文字盤の中央に向くようにする(B)。
ギアの「遊び」が大きいので、月の位置が気になるようなら(C)の位置に移動させる(月齢カレンダーで12月21日の月の形を確認しておく)
そして、下のギアを下からはめて、“芯”をさして固定。最後に太陽を乗せて完成!
ただしギアの「遊び」の影響で、文字盤の矢印を回転させたときに地球の軸が文字盤の中央からズレることもあるため、下のギアの「歯」のかみ合わせを1・2コマずらして微調整します。
完成!
長かった・・・ようやく完成しました。理論上は、地球が太陽のまわりを周回しても地軸の向きは一定なのですが、実際は結構ズレます。いいよ、もう・・・許す。
この「三球儀の正しい組み立て方」、ぜひとも学校のテストに採用していただきたい。上の方法が正しければ、の話ですが。
いざ、検証
では、太陽・地球・月が正しい位置関係になっているかどうかを検証します。
本日(2020年11月28日)の月を撮影しました。もうすぐ満月ですね。
三球儀の矢印を合わせると・・・
月が真っ暗!?
なぜだ?
そうなんです。必ずしも模型の月の見え方は実際と同じにはなりません。特に満月近辺は地球の影になり、太陽の光が当たらないのです。
実際の月の満ち欠けは、地球の下にある月齢表で確認します。ハイ、もうすぐ満月!正しい位置関係が証明されました。
「月の見え方が違うなら、意味ないじゃ~ん」と言いたいところですが、三球儀にそこまで求めるのは「酷」というものです。あくまでも3つの天体の動きと位置関係を知るための教材ですから・・・。
それではここでクエスチョン。なぜ実際は満月でも、三球儀の月は暗いのでしょうか?
宇宙の広さは、人の想像をはるかに超えている
それは、実際の太陽・地球・月の大きさと距離が、模型とは異なるから。
全っ然違います。本物と同じように見たいなら、それぞれの星の大きさと距離の比率を実物に合わせなくてはなりません。
仮に「地球の直径を1cm」とすると、だいたいこんな感じです↓
星の大きさがあまりにも違いすぎて、模型化なんてとてもとても・・・。
距離についても同様です。地球の直径が1cmの場合、月までの距離は30cm。そして太陽までの距離は、なんと120mにもなります↓
「直径1cmの地球」を基準として、太陽・地球・月の模型を正確な比率で作ろうとすると、学校のグラウンドの広さでも足りないかもしれません。
星の大きさと距離を正確な比率で示した「絵」ですら、描こうにも描けません・・・。
宇宙は想像を絶するほど広い!!
まとめ
三球儀の「正しい組み立て方」を知るために調べたことが、とっくの昔に忘れていた“プラスα”の知識を呼び起こす結果となり、僕はたいそう利口になりました(笑)。説明書が解読できなくてよかったのかもしれません。夜空を見上げるのも、それまでよりずっと楽しくなりました。
小学6年生と中学3年生の授業で、この教材がきっと役に立つはず。はたしてうちの子たちは興味をもってくれるだろうか・・・。そして苦労を重ねて書き上げたこの記事、何人の目に留まるのか・・・グーグルアナリティクス、見たくないです。
電池交換の方法
最後に電池交換について。きわめて簡単です。
冒頭にも書きましたが、「本家」と「安いほう」では太陽の光る部分の形が違います。これは「安いほう」の三球儀です。
太陽のてっぺんのネジをプラスドライバーで外すと、2つに分かれます。
中のネジを2本、同じようにプラスドライバーで外します。
すると、写真のようにパカッと外せます。
銀色のカタマリの後ろをねじると、中から電池が現れます。(LR-44×3個)
電池はご丁寧に、透明のアクリルのようなもので包まれ一体化しています。
組み立ては分解の逆で。特筆すべきことは何もありません。